クラウドファンディングは事業主や借り手に金銭的な支援をすると、その見返りとしてリターンが得られる仕組みですが、どのような見返り・リターンを得られるかは、クラウドファンディングのタイプによって異なります。 この記事ではクラウドファンディングの見返り・リターンの種類について簡単に解説していきます。
クラウドファンディングの見返り・リターンはタイプにより異なる
クラウドファンディングと一言で言っても、さまざまな種類があります。 まず、金銭的なリターンがあるかどうかによって非投資型と投資型のものに大きく分かれ、さらにリターンの性質によりそれぞれ細かく分類されます。
- 投資型クラウドファンディング
・融資型クラウドファンディング
・不動産クラウドファンディング
・株式投資型クラウドファンディング
- 非投資型クラウドファンディング
・寄付型クラウドファンディング
・購入型クラウドファンディング
下記で詳しく見ていきましょう。
見返り・リターンは金銭かモノ・サービスのどちらか
クラウドファンディングの見返り・リターンの種類は、クラウドファンディングのタイプごとに異なります。
投資型クラウドファンディングの見返り・リターン
種別 | 見返り |
融資型クラウドファンディング | 元本(償還金)、利回り(分配金) |
不動産クラウドファンディング | 償還金、対家賃収入(インカムゲイン)・物件の売却益(キャピタルゲイン) |
株式投資型クラウドファンディング | 非上場企業の未公開株式 |
寄付型クラウドファンディング | 発生しない |
購入型クラウドファンディング | 事業者が生み出すモノやサービス |
融資型クラウドファンディング
融資型クラウドファンディングで得られる見返りは、元本(償還金)と利回り(分配金)です。特にこのタイプのクラウドファンディングでは、利回りが5~10%と高いことが特徴です。 仕組みとしては、まず投資家から集めた資金を元に、太陽光発電プロジェクトなどのファンドが組成されます。これにより、プロジェクトが実行され、投資されたお金は運用されます。
運用が終了すると、投資家はその投資額に基づいたリターン(元本と利回り)を受け取ります。これらは自動的に投資家の口座に入金されますので、特別な手続きは不要です。 また、融資型クラウドファンディングは価格変動のリスクが低いため、投資家が積極的に行う作業は基本的にありません。投資をした後は、リターンが入るのを待つだけというシンプルな仕組みです。
不動産クラウドファンディング
不動産型クラウドファンディングでのリターンは、償還金と、対象不動産から得られる家賃収入(インカムゲイン)および物件の売却益(キャピタルゲイン)を原資とした利回りです。 このタイプのクラウドファンディングでは、投資家が物件の住所など具体的な情報を参照して物件選びに参加できるため、リスクを最大限抑えた形で見返りを得ることが可能です。
特に、家賃収入に関しては非常に安定した見返りが期待できる点が大きな特徴です。安定的な収益を見込めるため、長期的な投資を考えている方にとって魅力的な選択肢となっています。
株式投資型クラウドファンディング
株式投資型クラウドファンディングで得られるリターンは、非上場企業の未公開株式です。ただし、取得した株式は、投資先の企業がIPO(新規株式公開)やM&A(企業買収)などでイグジット(事業の出口戦略)を達成した場合に限り、自由に売買が可能となります。 現時点で、日本における株式投資型クラウドファンディングでのIPOやM&Aの事例はまだありませんが、海外では既に成功例があります。
特に欧米では、法制度の整備後4~5年でIPOが実現したケースが見られるため、日本でも今後、同様の事例が発生する可能性は十分にあります。 この投資手法では、将来有望な企業を見極める目利きが成功の鍵となります。信頼できる素晴らしい企業やサービスを見つけ、未来の成長に向けて投資を行うチャンスを掴んでください。
非投資型クラウドファンディングの見返り・リターン
寄付型クラウドファンディング
原則として、寄付型クラウドファンディングでは、支援者に対する見返り(リターン)は発生しません。これは、寄付型クラウドファンディングが主に慈善活動や社会貢献性の高い事業やプロジェクトを支援する仕組みであるためです。 支援者は、最初からリターンを目的として資金を提供していない点が、他のクラウドファンディングと大きく異なる特徴です。
寄付型では、「助けたい」「力になりたい」という、見返りを求めない純粋な想いが、支援者の動機となっています。このような想いが、寄付型クラウドファンディングの根幹を成す重要な概念です。
例)国際協力、医療機器の導入等支援、環境保全活動、動物保護、地域活性、子ども支援、災害被災地の支援
購入型クラウドファンディング
購入型クラウドファンディングのリターンは、事業者が生み出すモノやサービスです。支援者は、インターネットを通じて手軽に共感や賛同に基づいてプロジェクトを支援でき、プロジェクトの完遂まで起案者と一体となって参加することが可能です。 起案者は事前に支援額に応じたモノやサービスの内容を公開し、それを魅力に感じた支援者が投資を行います。
こうした仕組みにより、支援者は単なる寄付ではなく、具体的な成果物を得ることができます。 企業が購入型クラウドファンディングを利用する主な目的は、商品化を考えているモノやサービスのテストマーケティングです。消費者の反応を直接把握でき、さらに金融機関を介さずに資金調達ができるため、クラウドファンディングは試作品の開発に最適な手段と言えます。
例)地域特産品を使用した食品や新しい家電製品、商品化前のガジェット、エコ製品や再生素材を使用した限定ファッションアイテム、アート作品
まとめ
リターンの種類でクラウドファンディングを区分することができます。 自分がどのタイプのクラウドファンディングの案件に投資を考えているのか、投資への見返り・リターンとして何を得ることができるのかを十分に理解した上でクラウドファンディングに着手しましょう。 投資金額について詳しく知りたい、少額投資からスタートしたい方は以下の記事も読んでみて下さい。
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