【2024年最新】国内における不動産クラウドファンディング市場の現状と今後の展望

不動産クラウドファンディングは、個人投資家が少額から不動産投資に参加できる新しい手法として注目されています。

インターネットを通じて資金を集め、不動産プロジェクトへの投資を実現するこの手法は、特に近年急速に成長しています。2022年以降の国内不動産クラウドファンディング市場の動向とその規模について詳しく解説します。

市場規模の成長

国内における不動産クラウドファンディング市場は、近年急速な成長を遂げており、その規模は年々拡大しています。当社独自の調査によると、この市場は2018年から2024年にかけて、驚異的な成長を遂げています。

当社調べ

まず、2018年の時点では、募集金額合計は約4.7億円であり、ファンド数は27件、ファンドごとの平均募集額は約1,700万円でした。しかし、その後の数年間で市場は急激に拡大し、2019年には募集金額が約35.4億円にまで増加、ファンド数も103件と約4倍近くに増えています。この年、ファンドごとの平均募集額も約3,400万円と大幅に増加しました。
さらに、2020年には募集金額が約77.9億円に達し、ファンド数も128件となり、ファンドごとの平均募集額は約6,000万円にまで拡大しました。この傾向は2021年、2022年と続き、特に2022年には募集金額が約629.9億円に達し、ファンドごとの平均募集額は1億に到達しました。
そして、2023年には募集金額が約967.6億円、ファンド数は707件、ファンドごとの平均募集額は約1.3億円と、引き続き堅調な成長を続けました。最新の2024年の推計データでは、募集金額合計が約1,600億を超え、ファンド数も900件強と過去最高が予想され、ファンドごとの平均募集額も約1.6億円を超える見込みです。
このように、国内における不動産クラウドファンディング市場は、2018年から2024年にかけて約300倍以上に成長しており、各事業者が組成するファンド規模も巨大化していることがうかがえます。

不動産クラウドファンディングの分類

不動産クラウドファンディングには、大きく分けて2つの種類があります。 1つは匿名組合型で、もう1つは任意組合型です。
いずれも不動産クラウドファンディングに適用される不動産特定共同事業法という法律による分類です。 実際の不動産クラウドファンディング案件もほとんどがこの2つのいずれかに分類されます。

匿名組合契約

匿名組合契約とは、組合員である各々の投資家と不動産クラウドファンディングの事業者間で結ばれる契約です。
事業者は、匿名組合契約を交わした無数の投資家から調達した資金で物件を購入し、その物件の運用で得られた賃料収入や売却益を投資家に分配します。
一方投資家は、物件を直接所有せず、物件ごとに募集されるプロジェクトに出資するという形をとります。

プロジェクトの運用期間は長くても1年程度と短期で、流動性が高いです。
また、匿名組合契約を通じて得た収益は「雑所得」に分類されます。

任意組合契約

任意組合契約とは、匿名組合契約と同様に、投資家と不動産クラウドファンディングの事業者間で結ばれる契約の1つです。
匿名組合契約との違いは、任意組合契約を交わした投資家が、不動産クラウドファンディング事業者と共同で物件を所有し、運用するという点です。
いわば、投資家は物件そのものに投資をするという形になります。

任意組合の場合、投資家の内数名が委任されて不動産取引に直接携わり、出資比率に応じた収益を組合員に分配します。
任意組合契約を通じて取得された不動産は長期保有が基本で、流動性は低いです。
また、投資家が得る収入は「不動産収入」に分類されます。
投資家は任意組合契約を通じて数十万円からの高額な出資が可能となります。
また、現物不動産に投資をするため、現金を不動産へ置換することが可能となっており、課税回避に有効です。
その分、資産運用にはあまり向いていないと言えます。

匿名組合
任意組合

不動産特定共同事業法とは

不動産特定共同事業法(以下、不特法)は、日本における不動産投資や開発プロジェクトに関連する共同事業を規制する法律です。

この法律は、投資家保護と不動産市場の健全な発展を目指し、透明性と信頼性を確保するための枠組みを提供しています。

不特法の概要

制定目的
投資家保護:投資家の権利を守り、不正行為や詐欺から投資家を保護する。
市場の健全化:不動産市場の透明性と信頼性を高め、不動産投資の健全な発展を促進する。

対象事業
不特法は、不動産を利用した特定の共同事業を対象としています。具体的には、複数の投資家から資金を集めて不動産プロジェクトを行う事業が含まれます。

不特法の基本構造

不動産特定共同事業の運営のためには、不動産特定共同事業法の定める条件を満たし、法令に従って免許を得る必要があります。

不動産特定共同事業の種別

第1号事業

不動産特定共同事業法1号免許は、事業者が複数の投資家から資金を調達し、不動産を取得・管理し、その収益を投資家に分配する事業を行うための免許です。 「匿名組合型」として知られ、事業者が不動産の管理や運営を担い、投資家は実際の不動産所有権を持たずに利益を分配される形態です。

第2号事業

不動産特定共同事業法2号免許は、不動産特定共同事業契約の締結を代理または媒介するために必要な免許です。事業者は投資家と不動産保有者の間に立ち、契約手続きをサポートする役割を果たします。この形態では、不動産の取得や管理は行わず、仲介や契約に特化して収益を得る仕組みです。こちらは1号免許とセットで取得している事業者が大半を占めています。

第3号事業

不動産特定共同事業法3号免許は、特定目的会社(SPC)を介した特例事業スキームにて不動産特定共同事業を運営するための免許です。第3号事業者は不動産クラウドファンディングの対象不動産を保有するSPC(特例事業者)から委託を受け、不動産の運用・売買などの不動産取引を行います。この特例事業スキームによる運用ではオフバランス化(財務諸表に記載されない資産や負債とすること)が可能となり、財政状況を健全に見せ、資金調達が有利になることが第1号事業と異なる利点となっています。

第4号事業

不動産特定共同事業法4号免許は、インターネットを通じて投資家に対し、特例事業者が当事者となる不動産特定共同事業の契約を勧誘し、契約締結の代理または媒介を行うための免許です。この形態では、不動産の取得や管理は行わず、仲介や契約に特化して収益を得る仕組みです。こちらは3号免許とセットで取得している事業者が大変を占めています。

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不動産特定共同事業法(不特法)について徹底解説

技術の進化と市場の未来

不動産特定共同事業法(不特法)は、日本の不動産投資市場の透明性と信頼性を確保し、投資家保護を目的とした重要な法律です。

近年、この法律の枠組みの中でさまざまな最新技術やイノベーションが導入され、従来の不動産投資に新たな可能性をもたらしています。

この記事では、不特法の下で進化する最新技術やイノベーションについて詳しく解説します。

①ブロックチェーン技術の導入

概要
ブロックチェーン技術は、不動産クラウドファンディングの透明性とセキュリティを高めるために活用されています。ブロックチェーンは、分散型台帳技術により取引記録の改ざんを防ぎ、信頼性の高いデータ管理を可能にします。

具体的な利用例
スマートコントラクト:不動産取引や投資契約の自動執行を可能にし、契約履行の透明性と効率性を向上させます。
不動産権利証明:不動産の所有権や投資持分をデジタル化し、ブロックチェーン上で管理することで、所有権の確認や移転を迅速かつ安全に行います。

・取引の透明性と信頼性の向上
・中間コストの削減
・資産の流動性向上

②トークン化による不動産投資の民主化

概要
不動産のトークン化とは、不動産資産をデジタルトークンに変換し、小口化することで、より多くの投資家が少額から投資できるようにする仕組みです。

具体的な利用例
セキュリティトークンオファリング(STO):不動産プロジェクトを支えるトークンを発行し、投資家がトークンを購入することで、実際の不動産持分に対する権利を取得します。
二次市場の形成:トークンは二次市場で取引可能となり、投資家は容易に資産の売買や流動化を行うことができます。

・投資機会の拡大
・資産の流動性向上
・投資の多様化

③ AIとビッグデータの活用

概要
AIとビッグデータ技術は、不動産市場の分析や予測に革新をもたらしています。これにより、投資家はより正確な情報に基づいて意思決定を行うことができます。

具体的な利用例
市場予測モデル:AIを活用して不動産市場の動向を予測し、最適な投資タイミングや物件選定を支援します。
リスク管理:ビッグデータを用いたリスク分析により、投資リスクの評価と管理を高度化します。

・投資判断の精度向上
・リスク管理の強化
・効率的なポートフォリオ管理

 

④フィンテックによる資金調達と決済の革新

概要
フィンテック技術は、不動産クラウドファンディングの資金調達や決済プロセスを効率化し、投資家の利便性を高めています。

具体的な利用例
オンラインプラットフォーム:フィンテック企業が提供するオンラインプラットフォームを通じて、投資家は簡単に不動産投資プロジェクトに参加できます。
電子決済システム:電子決済技術により、投資家の入金や配当金の受け取りが迅速かつ安全に行われます。

・資金調達プロセスの効率化
・投資家の利便性向上
・コスト削減

⑤VR・AR技術による投資体験の向上

概要
 バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)技術は、不動産投資家に対して物件の視覚的な情報提供を革新しています。

具体的な利用例
バーチャルツアー:投資家はVRを通じて、遠隔地にいるにもかかわらず物件の内部を詳細に見学できます。
ARによる物件情報表示:AR技術を使って、実際の物件に仮想的な情報を重ねて表示し、投資家に対して物件の特長や周辺環境を分かりやすく説明します。

・投資家の理解と納得感の向上
・物件選定の効率化
・投資体験の革新

不動産特定共同事業法は、日本の不動産投資市場において透明性と信頼性を確保するための重要な法律です。この法律の枠組みの中で、ブロックチェーン、トークン化、AI・ビッグデータ、フィンテック、VR・ARなどの最新技術やイノベーションが導入され、不動産クラウドファンディングの可能性を大きく広げています。これらの技術革新により、投資家はより多様な投資機会を享受し、効率的かつ安全に不動産投資を行うことが可能となっています。

今後も技術の進化に伴い、不動産クラウドファンディング市場はさらに発展し、新たな投資機会が創出されることでしょう。

地域別の市場動向

不動産特定共同事業法(以下、不特法)は、日本全国で不動産投資の健全な発展を促進していますが、地域ごとに市場動向や課題は異なります。

この記事では、不特法の下での地域別市場動向について詳しく解説し、各地域での特徴や今後の展望について探ります。

首都圏

市場動向
首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)は、日本の不動産市場の中心地であり、投資機会が豊富です。特に東京は、オフィスビルや商業施設、住宅など多様な不動産プロジェクトが活発に行われています。

特徴
高需要:人口集中と経済活動の活発化により、常に高い需要があります。
多様なプロジェクト:大規模開発からリノベーションプロジェクトまで、多様な投資案件が存在します。
高い収益性:物件価格や賃料が高いため、高い収益性が期待できますが、投資額も大きくなります。

今後の展望
再開発プロジェクトの増加:オリンピック後も再開発プロジェクトが続き、新たな投資機会が生まれます。
テクノロジーの導入:スマートシティ化やグリーンビルディングの普及により、持続可能な不動産開発が進むでしょう。

関西圏

市場動向
関西圏(大阪、京都、兵庫)は、首都圏に次ぐ重要な不動産市場です。大阪は商業の中心地として多くのビジネスが集積し、京都は観光地としての魅力があります。

特徴
商業施設の充実:大阪には大規模な商業施設やオフィスビルが多く存在します。
観光需要:京都や神戸は観光客が多く、宿泊施設や商業施設の需要が高いです。
比較的安定した市場:首都圏ほどの変動は少なく、安定した収益が期待できます。

今後の展望
インバウンド需要の回復:コロナ禍からの回復に伴い、観光需要が再び増加し、不動産投資の機会も増えるでしょう。
地域再開発:関西圏でも再開発プロジェクトが進行しており、新たな投資機会が生まれます。

地方都市

市場動向
地方都市(仙台、広島、福岡など)は、首都圏や関西圏に比べて規模は小さいものの、地域ごとに特色ある不動産市場を形成しています。

特徴
低価格帯:物件価格が首都圏や関西圏に比べて低いため、初期投資額が少なく済みます。
地元需要:地域住民向けの住宅や商業施設が中心です。
成長ポテンシャル:一部の地方都市では、地域経済の成長に伴い不動産市場も拡大しています。

今後の展望
地方創生政策の影響:政府の地方創生政策により、地方都市への投資が促進される可能性があります。
デジタル化の進展:リモートワークの普及により、地方都市への移住が増え、不動産需要が高まる可能性があります。

リゾートエリア

市場動向
 リゾートエリア(沖縄、北海道、軽井沢など)は、観光客向けの宿泊施設や別荘地として人気があります。

特徴
観光需要:国内外からの観光客が多く、宿泊施設や商業施設の需要が高いです。
季節変動:季節による需要の変動が大きいため、収益性に波があることが多いです。
自然環境:美しい自然環境を活かした高級リゾート開発が進んでいます。

今後の展望
観光業の回復:コロナ禍からの回復に伴い、観光需要が増加し、リゾートエリアへの投資機会が拡大するでしょう。
エコツーリズムの推進:環境に配慮したエコツーリズムが注目されており、持続可能なリゾート開発が進むと考えられます。

不動産特定共同事業法の下での不動産市場は、地域ごとに異なる特徴と動向を持っています。

首都圏では高い需要と多様な投資機会、関西圏では安定した市場と観光需要、地方都市では成長ポテンシャルと低価格帯の投資、リゾートエリアでは観光需要と季節変動がそれぞれ見られます。これらの市場動向を理解し、適切な投資判断を行うことが、不動産クラウドファンディングの成功につながるでしょう。

各地域の特性を活かした投資戦略を立てることで、持続可能な成長を実現することが期待されます。

まとめ

2022年以降、国内の不動産クラウドファンディング市場は著しい成長を続けています。消費者の認知度向上やプラットフォームの多様化、技術の進化により、市場規模はさらに拡大し、多様なプロジェクトが資金調達に成功しています。地域別の市場動向やセグメント別の成長も注目すべきポイントです。

今後の課題を克服し、持続可能な成長を実現するために、規制の整備やプロジェクトオーナーへの支援が重要となるでしょう。

このように、国内における不動産クラウドファンディング市場は今後も新たな可能性を秘めた成長分野として注目されています。オウンドメディアでの情報発信を通じて、読者に最新の市場動向を伝え、不動産クラウドファンディングの魅力を広めることが求められます。

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