クラウドファンディングの案件の中には、保証がついているものがあります。
優先劣後スキームなど、事業者の倒産リスクへの対応はすでに存在していますが、保証を付与することによって、投資家はより安全にクラウドファンディング投資に取り組むことができるようになります。
保証付き案件の具体的な特徴を述べ、どのようなメリットがもたらされるのかを解説していきます。
投資型クラウドファンディングのリスク
投資型クラウドファンディングにおける代表的なリスクとは、事業者の倒産リスク・元本割れです。
他の金融商品と比べてもクラウドファンディングは安全であることが特徴として挙げられますが、やはり投資である以上はどうしてもリスクが伴います。
そういったリスクを保証を付与することによって軽減することができます。
ただし事業者や貸付先企業の倒産や保証会社の信用度低下など、元本割れリスクは依然として存在し続けることは頭に入れておきましょう。
投資型クラウドファンディングに付与される保証
投資型クラウドファンディングに付与される保証は、タイプごとに異なります。
融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)における保証
融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)における保証とは、貸付先企業が債務不履行になった場合の債務保証で、保証の担い手は、クラウドファンディングのプラットフォーマーではなく保証会社です。
出展:ソーシャルレンディング COOL
債務保証とは貸付先の企業が返済困難に陥った場合に、保証会社が投資資金の元本の保証をする仕組みです。
保証会社は貸付先企業と保証委託契約を結び、担保を設定します。
事業者が担保となる不動産を取得する際、その資金を保証会社が肩代わりします。
貸付先企業がプラットフォーマーを通じて投資家の融資した資金を返済することができなくなった場合に、保証会社が投資家への償還金を肩代わりします。
投資家にとっては、貸付先企業が債務不履行に至った場合にも元本を回収できるので安全なファンドといえます。
不動産クラウドファンディングにおける保証
不動産クラウドファンディングの保証の1つは、保証会社によるファンド組成対象物件の買取保証です。
不動産クラウドファンディングでの買取保証とは、運用期間中にファンド組成対象物件を売却できなかった場合、あるいは売却額が当初の想定よりも低くなる場合に、保証会社が物件を買い取るという仕組みです。
保証付き案件の場合は、保証会社が物件を購入するため、買取保証額が売却価格を上回る場合には元本は毀損しません。
ただし、運用期間終了時の物件の売却価格が買取保証額を上回る場合や、保証会社が倒産する場合には、元本割れする可能性があるので注意が必要です。
不動産クラウドファンディングに付与されるもう1つの保証が、賃料保証です。
賃料収入の保証方法とは、事業者がファンド組成対象物件を一括で管理するサブリース契約と、部屋を一括で借り上げるマスターリース契約を指します。
賃料収入を原資としたリターンを投資家に分配するファンドの場合、ファンド組成対象物件に十分な入居者が集められないと、配当を作り出せないため、これらの賃料収入対策をすることで、事業者は安定的にリターンを分配することができます。
また、ファンド組成対象物件の価格が下落した場合に、一定の範囲内であれば投資家に想定通りの配当を保証する優先劣後構造がすでに存在しますが、損失が事業者の劣後出資を上回る場合には賃料収入の保証は適用されませんので注意が必要です。
加えて、前述の通り、保証会社が倒産した場合にも賃料保証は適用されません。
保証が付与されることで安全性が高まるとはいえ、元本割れリスクが0になることはありません。
保証会社について
2021年現在、クラウドファンディングの保証付き案件を全て担っているのは日本保証です。
日本保証はこれまで主力事業として、銀行や信用金庫などの金融機関と提携し個人や法人向けローンなどの債務を保証する保証事業を展開しており、2019年12月時点で2,105億円以上もの債務保証残高を有しています。
この債務保証の実績をもとに、いくつかのクラウドファンディングサービスで既に債務保証や買取保証、賃料保証を展開しています。
安全性に裏打ちされた人気ぶりから察するに、今後も保証付きの案件のラインナップはさらに充実することが予想されます。