マイクロファイナンスとは、発展途上国の貧困層の経済的自立のための融資ができる投資商品です。
小口融資で社会貢献ができるソーシャルレンディングの1つの形です。
日本でも発展途上国への小口融資ができるサービスが徐々に台頭してきており、小口の金融商品として注目を集めています。
この記事ではマイクロファイナンスの歴史や概要・メリットやデメリットを踏まえたうえで、代表的なサービスについていくつかにご紹介します。
マイクロファイナンスとは
マイクロファイナンスとは、貧困地域に対する小口金融の総称です。
貧困地域の会社経営や事業をサポートするための融資だけではなく、送金や保険、貯蓄など他の金融商品も含まれます。
事業者は投資家から小口での投資を募り、無審査・無担保で貧困地域への支援をし、そのお金をもとに顧客は困窮状態から抜け出す、または経済的自立を図る、というのがマイクロファイナンスの基本的な目的です。
発展途上国のような貧困層が多い地域では、銀行などの一般的な金融機関からお金を借りることが難しいです。
なぜなら、銀行の審査は過去の実績や収入をもとにしているからです。
一方、マイクロファイナンスであれば、当該地域の人々の経済的自立を促す、すなわち融資を元手にビジネスを運営し収益をあげてもらうという形をとっているため、ビジネスそのものの堅実性・実現可能性を考慮してプロジェクトが組まれます。
同じく貧困地域に対する援助である、寄付や慈善活動と異なる点は、マイクロファイナンスはあくまで金融商品であるということです。
すなわち、投資家は投資額に対するリターンを期待して、「融資」という形で貧困地域を支援しています。融資には当然返済の義務が伴います。
すなわち、マイクロファイナンスとは社会貢献性と収益性の両側面を持った商品であり、こういった類の投資は「インパクト・インベストメント」と呼ばれています。
現在、webサイトを通じて簡単に投資できます。
マイクロファイナンスは貧困地域への融資であることから、一見リターンを回収できる確率が低い印象を抱かれるかもしれませんが、なんと元本回収率は約98%です。
Mix Marketというマイクロファイナンス機関のデータベースによると、マイクロファイナンス機関の平均年間貸倒率は2.5%程と、極めて低い状況です(ただし、世界中すべてのマイクロファイナンス機関がMix Marketに登録されているわけではないので注意が必要です)。
出典:クラウドクレジット 社員コラム「実は返済率の高いマイクロファイナンス。では何が問題か?フィンテックが解決する金融機関側の問題」
マイクロファイナンスの歴史
貧困地域への小口融資が注目されるようになったのは、1970年代におけるバングラデシュの農村やアジア、ラテンアメリカなどの貧困地域で広がっていったマイクロクレジット(小口融資)です。
マイクロクレジットでは、ムハマド・ユヌス氏が建てたグラミン銀行が有名です。
グラミン銀行が画期的なのは、投資の審査としてグループレンディングというシステムを採用したことです。
つまり、担保を持たない貧困層のグループのメンバーを全員連帯保証人とし、お互いを監視するシステムを作り、コミュニティとしての結束力を信用に置き換え融資を行いました。
この融資システムは成功し、実験段階でも返済率98%と貸し倒れはほとんどなく、融資という形で貧困問題の解決だけではなく結果的に貧困層の経済的自立を促すことができる有効な手段として、マイクロクレジットは認識されることとなりました。
それに付随する形でニーズのある送金や保険、預金などのメニューも加わり、それらの総称がマイクロファイナンスと呼ばれるようになりました。
寄付やNGOなど貧困地域に対して支援をする取り組みや組織はもちろん昔からありましたが、マイクロファイナンスが従来の貧困地域に対する支援と異なるのは、資金の借り手側が支援金を元手に積極的に経済活動に取り組み、自立を目指すという点にあります。
そういった借り手の能動的な姿勢に、投資家の「共感」や「応援」といった情緒的な要素が入り、魅力的な投資商品として成立しているのです。
そして現在は、インターネットを通じて資金を世界中から調達できる枠組みが出来あがりました。
マイクロファイナンスの特徴
マイクロファイナンスの特徴は「応援」や「共感」が、投資の重要なモチベーションとなっていることです。
資金の流れは定量的なものは提示されませんが、プロジェクトの進捗など大まかなデータやストーリーは投資家にも共有されます。
投資のモチベーションとは、例えば特定の地域に特別な思い入れがあり、そこでのプロジェクトを応援したいという気持ちであったり、苦境の中での起業を支援したいといった類のものです。
より情緒的な投資商品として、投資のポートフォリオに組み込まれることも多いです。
余剰資金を資金不足の地域に流通することが、マイクロファイナンスの使命です。
マイクロファイナンスの基本的な仕組み
マイクロファイナンスの仕組みは、基本的にはソーシャルレンディングと同じです。
つまり、投資家と資金需要者の仲介者として事業者が入り、資金調達や収益の分配を行います。
事業者の調達した資金がMFI(マイクロファイナンス機関)を介して資金需要者のもとに届くか、あるいは事業者がカウンターパートとなり直接届けられるかといった微妙な差異はありますが、基本的には投資家からオンラインで集めたお金を資金需要者に融通するという仕組みです。
プロジェクトは主に世界各国でスモールビジネスを展開する農家や個人事業主に融資を行い、その資金でビジネスを運営してもらい、収益を分配するものが多いです。
投資額は小さく、一口1万円から始められます。
マイクロファイナンスのメリット・デメリット
マイクロファイナンスによって投資家が享受するメリット・デメリットは主に以下の点です。
マイクロファイナンスのメリット
投資でこの世界を少しよくできる
マイクロファイナンスへの投資が他の投資と違う点は、社会貢献性の高さにあります。
社会貢献と金銭的なリターンどちらも期待できるというハイブリッドな投資のスタイルが特徴です。
一時的な支援とは異なり、マイクロファイナンスは貧困地域の持続的な発展を促すことが目的です。投資家はその手元にあるリスクマネーを使って地球に蔓延る貧困問題を解決できる可能性があります。
少額での投資が可能
マイクロファイナンスは不特定多数から少額の資金を募るものであるという性質上、一口一万円からと無理のない額での投資が可能となっているため、投資初心者にも非常に取り組みやすくなっています。
手堅く高い利回りを得ることができる
マイクロファイナンスで得られる利回りは4~7.5%と、低金利の昨今において非常に高い利回りとなっています。
また、マイクロファイナンスは貸し倒れ率も低いため、非常に魅力的な投資対象となっています。
貸し倒れ率が低いのは、貧困地域の人々がマイクロファイナンス事業者のアドバイスやコンサルティングを受けて経済活動をすることで、収益をしっかりと上げていくことができるからです。
マイクロファイナンスのデメリット
高額なリターンを期待できない
確かにマイクロファイナンスは利回りの高さが特徴であり、少額の投資のわりにリターンも大きいですが、その分莫大なリターンはあまり期待できません。
あくまでもマイクロファイナンスは小口融資が基本です。
このため、投資によって大変大きな利益を得たい場合には不向きです。
貸し倒れリスクがある
確かにマイクロファイナンスは現在のところ貸し倒れリスクが低いですが、元本の保証がありませんので、貸し倒れリスクが存在しないわけではありません。
貧困地域の人々は融資を受けてビジネスをしていくため、不確実性が伴います。
損得ばかり考えるのではなく、どうしても投資したいと思う案件かどうかを十分に検討しましょう。
マイクロファイナンスの代表的なサービス
ネクストシフトファンドは、鳥取県発のマイクロファイナンスサービスです。
新興国の個人事業主に対する融資に強みを持っており、商品ラインナップも充実しています。
クラウドクレジットは、一口1万円から海外の案件に投資できるマイクロファイナンスのサービスです。
独自の審査によって選ばれた世界30か国以上の事業の安定する可能性の高い法人に融資できます。
クラウドクレジットは社会的インパクト投資宣言をしており、投資を通じて経済的インパクトと社会的インパクトを両立した商品を投資家に提供することで、国や地域にポジティブな変化をもたらさんとする宣誓をしています。
まとめ
この記事ではマイクロファイナンスについて解説してきました。
社会貢献と金銭的なリターンの両方を望めるマイクロファイナンスはまさに一度で二度美味しい投資手法です。
現在のところ貸し倒れリスクはほとんどなく、少額から始められるので初心者にもおすすめです。
あなたもマイクロファイナンスを通じて社会問題に一石を投じてみてはいかがでしょうか。