従来の不動産投資は、大きなリスクを負って自ら物件を購入し運用をするものですが、法律の改定とインターネットの普及で不動産投資を少額で取り組むことができるようになりました。
「少額」というのが具体的にどの程度の額を指すのかは皆さんの財布事情にによりけりだとは思いますが、この記事では不動産投資を少額かつ低リスクで行うための方法をいくつか紹介します。
なぜ不動産投資を少額で行えるようになったのか
不動産投資を少額で行えるようになったのは、不動産特定共同事業法の制定が大きな要因の一つです。
不動産特定共同事業法とは事業者が投資家から集めたお金でファンドを組み、不動産を運用し、得られた収益を投資家に分配する不動産特定共同事業における、業務の適正な運営と投資家保護に関する仕組みを定めた法律です。
不動産特定共同事業法は過去二度にわたって改正されてきました。
少額の不動産投資にとって大きなターニングポイントとなったのが平成29年度の法改正です。
この改正では電子取引業務、すなわちクラウドファンディングなどのインターネット上での取引業務について言及されました。
また、平成31年にはガイドラインが策定され、電子取引業務の具体的な枠組みが決められました。
これを機に、現在不動産特定共同事業者は参入が相次いでおり、様々な少額の不動産投資を行えるサービスが登場しています。
https://www.idg.co.jp/colead/wp-content/uploads/2019/11/f7626b435dfdd17edb938a6c5b5a0a24.pdf
参考文献:国土交通省「不動産特定共同事業者許可一覧」
不動産投資を少額で行う方法
不動産投資を少額で行う方法は以下の4つです。
・不動産クラウドファンディング
・不動産投資信託(REIT)
・融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)
少額から不動産投資ができる点は同じですが、それぞれが投資対象として異なる性質を持っています。
・不動産クラウドファンディング
不動産クラウドファンディングとは
不動産クラウドファンディングとは、インターネットを介してある物件を不特定多数の人々からのお金で運用するクラウドファンディングです。
投資家はリターンとして償還金と、賃料収入(インカムゲイン)と売却益(キャピタルゲイン)を原資とした利回りを合わせた額を得ることができます。
不動産クラウドファンディングは、複数の投資家で一つの物件に投資するという形式であるためリスクが分散され、一口一万円からと少額の投資が可能です。
以下のように、物件や土地に関する詳細な情報を参照しながら、安全に投資できる点が人気を集めています。
https://x-crowd.jp/investment/investment_entry.html?fund_id=1
引用:X-Crowd「ファンド1号(珠数屋町)口」
代表的なサービスとしては、以下が挙げられます。
A funding | 株式会社AMBITION |
ASSECLI | 株式会社プレミアムバリューバンク |
CREAL | 株式会社ブリッジ・シー・キャピタル |
FANTAS funding | FANTAS technology株式会社 |
Good Com Fund | 株式会社グッドコムアセット |
Jointo α | 穴吹興産株式会社 |
Partners funding | 株式会社パートナーズ |
Rimple | プロパティエージェント株式会社 |
WARASHIBE | 株式会社SATAS |
X-Crowd | 株式会社インテリックス |
クラウドリアルティ | 株式会社クラウドリアルティ |
サラリーマンボンド | 株式会社マリオン |
ハロー!Renovation | 株式会社エンジョイワークス |
RENOSY ASSET クラウドファンディング | GA technologies株式会社 |
・不動産投資信託(REIT)
不動産投資信託(REIT)とは
J-REITとは、不動産投資信託を指す言葉です。
不動産投資信託は、世界的には、英訳の「Real Estate Investment Trust」のイニシャルの羅列であるREIT(リート)が通称ですが、日本では、国内特有のルールなどを踏まえてJ-REITと呼ばれています。
J-REITでは、投資の担い手たる不動産投資法人が「投資証券」を発行し、投資家はそれを購入します。
そうして不特定多数の投資家から募ったお金でマンションや商業施設などの物件を購入し、運用で得られた賃料収入や売却益を分配します。
投資法人とは、ある特定の物件を購入・運用をするためだけに設立される法人のことで、人員は役員のみで構成されています。
J-REITでは、投資法人単体で実務を行うことが禁止されているため、投資家から集めたお金はそれぞれ、資産保管会社、資産運用会社に分配され、事務作業は事務受託会社が担います。
・融資型クラウドファンディング
融資型クラウドファンディングとは
融資型クラウドファンディングは、ソーシャルレンディングとも呼ばれ、事業やプロジェクトを企図している借り手が匿名組合に基づき、インターネット上で不特定多数の投資家から募ったお金を運用し、リターンとして償還金(元本)と分配金(利回り)を合わせた額を投資家に分配するクラウドファンディングです。
不動産クラウドファンディング同様、一口一万円から投資を始めることができます。
投資家は借り手が事業で得た収益をもとに、償還金(元本)と分配金(利回り)を合わせた額をリターンとして受け取ることができます。利回りが5~10%と高いことが特徴です。
融資型クラウドファンディングの不動産案件は、不動産クラウドファンディングと異なり、金融商品取引法の適用範囲となります。
金融商品取引法とは、昭和23年に制定された証券取引法を改題し、金融商品取引所の適切な運営を確保すること等により、有価証券の発行及び金融商品等の取引等を公正にし、有価証券の流通を円滑にすることを目的に制定された法律です。
融資型クラウドファンディングの不動産投資案件は一口最低1万円からの投資が可能などの共通点はありますが、不動産クラウドファンディングとは性質が異なります。
以下の案件のように物件の内装などは非公開となっており、情報は限定的となっています。
https://www.ownersbook.jp/project-detail/index/1185
引用:Owner’s Book「東京23区商業ビル底地・区分第1号第2回」
また、融資型クラウドファンディング事業者が調達した資金は物件所有者に貸し付けられ、メザニンローンやシニアローンに用いられます。
不動産に特化した融資型クラウドファンディングの代表的なものとしては以下のサービスが挙げられます。
クラウドリアルティ | 株式会社クラウドリアルティ |
Owner’s Book | ロードスターキャピタル株式会社 |
LENDEX | 株式会社LENDEX |
まとめ
この記事では、不動産投資を少額で行う方法について解説してきました。
少額で行える不動産投資はリスクも少なく、案件選びもサイト内で手軽にできる場合もあるため投資初心者にとって非常に敷居が低いと言えます。
不動産投資を少額で行うにはいくつかの方法があります。どのくらいのリスクを負えるかを考え、少額の不動産投資に取り組みましょう。