特例事業とは?第1号事業との違いや投資家へのメリットを解説

特例事業とは

特例事業は、不動産クラウドファンディングにおける投資家保護を強化する仕組みとして導入されました。特別目的会社(SPC)が不動産を所有・運用することで、投資リスクを投資対象の不動産に限定し、事業さらに、金融商品取引法の適用により、投資家の安心感が一層向上しました。以下その内容について、解説します。

特例事業とは

特例事業スキーム

不動産クラウドファンディングの「特例事業」は、投資家にとってのリスク管理を強化した投資手法です。
特例事業は、不動産特定共同事業法に基づき、特別目的会社(SPC)を設立し、そのSPCが実質的に不動産を所有し、収益の分配を行う仕組みです。

通常の事業と異なり、事業本体があったとしても不動産資産が隔離される「隔離」機能があるため、投資家のリスクは事業全体に対してではなく、投資した不動産に限定されます。

特例事業 倒産時のメリット

特例事業では、SPCが主に収益の分配を行い、不動産の取引業務などの主要業務は宅地建物取引業の許可を得た第三号事業者に委託されます。また、特例事業では、投資契約に基づく権利が金融商品取引法上の「みなし有価証券」として扱われるため、投資家は同法規制により保護されています。

これにより、投資家は安心して資産運用ができる仕組みが整っています。
特例事業は、通常の不動産特定共同事業よりもリスクを低減する仕組みが特徴であり、リスクに配慮しつつ、収益性を重視した投資家にとって魅力的な選択肢と言えるでしょう。

SPCとは
SPCはある特定の役割のみを果たすためだけに設立されたペーパーカンパニーに過ぎず実体がない上、財務省の管轄下に置かれているため、事業活動ができません。

3号事業者とは
特例事業の運営の主体である事業者は3号事業者と呼ばれ、SPCを設立し、不動産の所有権をSPCに移管することができます。
3号事業者は、宅地建物取引業の許可を得て不動産クラウドファンディング事業を運営します。

なぜ特例事業が必要なのか?

不動産特定共同事業における投資家保護の導入が大きく進化した背景には、1号事業者の一時顕在化した深刻な課題がありました。本章では、特例事業の必要性やその意義について解説します。

投資家保護の課題:1号事業のリスク

従来の不動産特定共同事業法に基づく1号事業では、投資家が事業者の不動産に投資する場合、事業者全体の情勢に直接影響を受ける仕組みです。
そのため万が一、事業者の運営体制や財政状況などが悪化した場合、投資家は不動産以外の事業リスクや倒産リスクまで負担する可能性がありました。

平成25年度の法改正と特例事業の導入

この状況を受けて、平成25年度に不動産特定共同事業法が改正され、特例事業が新たに制度化されました。この制度は投資家保護を強化する動きとして、当時から投資家の中でも多くの期待を寄せられていました。

不動産の所有者の分離/リスクの限定化

特例事業では、事業者が取得した不動産は設立した特定目的会社(SPC:特別目的会社)に譲渡されます。このSPCが不動産の所有・運用を決めるため、事業者の倒産リスクが直接的に投資家へ影響を及ぼすことはほとんどなくなりました。
これにより投資家は対象不動産に対するリスクのみを考慮すればよい状態となりました。

まとめ

特例事業は、不動産クラウドファンディングにおける投資家保護を目的として設計された制度です。

事業者が取得した不動産を特別目的会社(SPC)に移管することで、投資家のリスクを特定の不動産に限定し、事業者全体のリスクから分離し特定の不動産に限定します。
この仕組みは、1号事業の課題であった事業者危機時の影響を軽減し、投資家が安心して運用できる環境を提供します。また、金融商品取引法適用による規制も強化しています。法改正を機に導入された特例事業は、安全性を重視する投資家にとって重要な選択肢となっています。

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