不動産クラウドファンディングの台頭により、不動産投資がより身近な選択肢となっております。
その中で、多くのスキームに活用されているのが「不特法(不動産特定共同事業法)」に基づく匿名組合です。
この契約形態は、投資家にとって安全性と透明性を確保しながら、不動産事業に参加できる仕組みを提供しています。
この記事では、匿名組合契約の仕組みと不特法との関係性について詳しく解説します。
匿名組合契約とは?
匿名組合契約は、商法第535条に基づく法的な投資スキームです。不動産クラウドファンディングでは、この匿名組合型が一般的です。
この契約では、以下のような役割分担が行われます。
- 投資家は資金を提供しますが、事業の運営には直接関与しません。そのため、投資家の匿名性が保たれます。匿名組合では、不動産取引にあたって出資者(投資家)の氏名は表に出ず、「匿名組合」との名称はこの点が由来となっています。
- 事業者は、出資金を基に事業を運営し、得られた利益を各投資家に分配します。事業者は、事業の運営や管理に関して全責任を負います。匿名組合型の場合、投資対象となる不動産の名義は事業者名義となります。
匿名組合契約のメリット
投資リスクが限定的
投資家は出資額の範囲内でのみ責任を負うため、事業が失われる場合でも、それ以上の負担は発生しません。
匿名組合型に採用されていることが多い仕組みです。
また、ほとんどの事業者が「優先劣後システム」を採用しているため、万が一、収益減少や損失が出た場合でも、事業者が出資した割合まで先に負担することになりますので、投資家の元本の安全性がより高い投資手法といえるでしょう。
(例) 投資家からの「優先出資」の割合を70%とし、残りの30%は営業者が「劣後出資」した場合、物件価値の低下による元本損失リスクをその範囲において先に引き受けるという仕組みです。対象不動産の価値(評価額)が落ちた場合でも、優先的に元本が償還されるのは優先出資者となります。
劣後出資者は優先出資者への返還がすべて完了した後、残余があるその場合にのみ劣後出資者は返還を受けることができる仕組みとしております。
少額からの投資が可能
一般的に、不動産投資を始めるためには、初期費用は最低でも数百万円、物件によっては1億円を超える場合もあります。また、最近は、低金利の影響や建築コスト(資材や人件費)の高騰により不動産価格が上昇しており、不動産投資を始めたくても資金的な問題から断念する人も少なくありません。
一方、匿名組合型の不動産クラウドファンディングは、一口1万円程度のファンドも多く、少額から不動産投資ができるという点が魅力です。
専門的な運営
事業者が運営に関する専門知識を有しているため、
物件選定から購入、運営、管理、さらには売却までのプロセスを一貫してプロフェッショナルとして実行します。
そのため、投資家は自主的に物件を管理したり、煩雑な手続きを行ったりする必要はありません。
注意点
元本保証がない
匿名組合型の投資は、投資である以上、元本保証がありません。投資した資金が事業や不動産市況の変動に大きく影響されるため、
場合によっては出資金の全部または一部が毀損する可能性があります。そのため自身のリスク許容度に応じた投資を行うことが重要です。
流動性が低い
匿名組合契約では、一度投資した資金を運用期間中に引き出すことが難しい場合があります。
そのため、投資を決定する際には、事前に運用期間や契約内容を十分に確認し、資金を固定するリスクを考慮する必要があります。
情報の非対称性
営業者から提供される情報に基づいて投資判断を行うため、情報の正確性や透明性が重要です。信頼できる事業者を選ぶことが成功の鍵となります。
まとめ
匿名組合型の不動産クラウドファンディングは、少額から始められる手軽さやリスクを限定できる仕組み、専門的な事業運営により、
多くの投資家に注目されています。不動産投資の新たな選択肢として、この仕組みを活用する際には、事業者の信頼性やリスク許容度を十分に考慮し、慎重に判断することが重要です。
不動産特定共同事業における任意組合型は、不動産の共有持分を取得することで、相続税軽減やスムーズな相続を実現できる有効な相続対策手段です。中長期的な運用を前提に、安定的な資産成長が期待でき、さらなる資産保全と節税を両立させる選択肢[…]